ごあいさつ


小澤 淳二 (清流会 会長)

 「染・清流展」は今年で21回を数えます。1990年に第一線で活躍しておられる染色家の諸先生方とともに清流会を結成し、翌年2月に京都市美術館で開催した第1回染・清流展には30名の作家にご出品いただきました。
 その第1回展の図録に、のちに染・清流館の初代館長に就いていただいた木村重信先生と、京都の染色界の長老的存在だった佐野猛夫先生が文章を寄せています。木村先生は「願わくば、芸術を好み、染色を愛する人たちが、一人でも多く会場に足を運ばれ、その美に接することを通じて、染色芸術の発展に参与されんことを」とその文章を結ばれ、また佐野先生は文中で「京都の染色文化の新たな躍進をめざす」と力強く宣言しておられます。
 それから四半世紀あまりが過ぎ、佐野先生に続いて木村先生も今年、他界されました。「染色芸術の発展と躍進」こそはお二人から託されたバトンでありましょう。装いを新たにした今年の「染・清流展」は、現在の第一線で活躍される作家のかたがたから寄せられた優れた作品によって、そのバトンをしっかりと受け継ぐものであると確信しています。

ごあいさつ


深萱 真穂 (染・清流館キュレーター)

 染・清流館は、第21回「染・清流展」ビエンナーレ2017を開催します。
 「染・清流展」は、京都を活動の拠点とする染色家を支援し染色芸術を広く社会の中に位置付けていこうと1991年に始まりました。当初は京都市美術館で毎年、2007年の第16回展以降は京都・室町に開館した染・清流館で隔年の開催とし、2015年に第20回の記念展を開きました。その間には奈良や東京へ巡回した年もあります。出品作家からの積極的な協力を得て、展覧会は回を重ね定着し、数多くの観覧者をお迎えしてきました。
 今回は節目の記念展を終えて新たな一歩を踏み出す展覧会として、隔年の開催を意味する「ビエンナーレ」を展覧会名に掲げるとともに、出展の規定を見直し、京都市美術館で開いていた当初に近い大きな作品も受け入れることにしました。91年の第1回にも作品を寄せたベテランから、当時は小学校にも入っていなかった若手まで、作家29名の作品を2期に分けて展覧します。各作家が染め上げた作品世界をお楽しみいただくとともに、現代の染色表現の豊かな広がりを感じていただければ幸いです。