じゃんけんで負けて蛍に生まれたの


池田澄子
中野 宣子

 

中野 宣子

 

 

 難しい題材をいただいたというのが第一印象でした。日頃、書作をする時に選ぶ題材と異なっていたので悩みました。
 繰り返し何度も読み、心に残ったのは、〝命〟でした。螢の命、命とは、…じゃんけん、負ける…頭の中で言葉がぐるぐる巡っていきました。作者の思いと離れているかもしれませんが、はかない命から懸命に生きる命へと思い、螢をいとおしむ心境になり、〝命と輝き〟を願い制作いたしました。


 60×60cm

福本 潮子

 

福本 潮子

 

 

 夏の初めに蛍が出るのを、私は楽しみにしています。蛍は、京北の我が田舎家の横の小川には毎年みられ、京都市内の自宅の前を流れる紙屋川にも近年チラホラ出るようになりました。蛍をみると和泉式部の歌を思いだす私は、現代的なこの俳句に出会って、平安時代も現代も女性は蛍に魂をみるのだと思いました。日本の藍の鮮明なグラデーションで私は光の表現を試みてきました。蛍の小さな光は藍染の絞りの点がふさわしいのです。なま暖かい風が吹く蛍の季節に「うちわ」が似合うと思います。


パイナップルピーニャ、和紙、竹/藍染、絞り、しみ染
120×120cm
 
うちわ制作 京うちわ「阿以波」