仮の世に色あらばこの桜貝
上田日差子

原 多詠子
仮の世、すなわち現世は、楽しいこと、悲しいこと、思い悩むこと、苦しいこと等、気持ちがゆれ動くことばかりです。桜貝のような淡い色に人生のはかなさや、切なさを表現するため、細目の線質にし、波にただよう桜貝を印に見立て、全体の雰囲気を淡い色調にしました。
60×60cm

本間 晴子
春を思わせる暖かな日差しの中で海辺の桜いろを手のひらに愛でる。日本の春に代表的な桜の花、満開の美しい季節を心待ちにしつつも桜貝のはかない可憐さが同じ桜いろが心にふれる。冬の荒くも静かな海に心は暖かい。こんなイメージが浮かぶ。何より日差子( ひざし )と読ませる作者の名にくすぐられる。太陽の光、日差しの中で色彩を浴びる。うすくこくやわらかくつよく様々に。作品は俳句から浮かんだ作者のイメージかもしれない。
〈 PAZRUKA-53-HIZASHI 〉
絹布地、木ボード、木フレーム、タイル/
ドローイングプリント
72×72cm