あるけば草の実すわれば草の実
種田山頭火

平位 かよ子
山頭火の行乞流転の旅の想いには至りませんが、私はこの句を、くっつき虫が衣服にたくさんついている様子を楽しんでいると捉えました。
表具は前方に浮き上がるようなイメージで考え、全体に明るくすっきりとした作品にしたいと思いました。
60×60cm

森 絵実子
私は植物のように生きたい。
彼らは降り立った土地で種を芽吹かせ環境を全て享受して生き、日向と日陰があれば日向に自然と枝葉と思考をのばし懸命に生きるが、滅ぶときは滅ぶ。
そんな潔い生き様を家の片隅で観察していると高尚にすら思えてくる。
山頭火の句をよんでいると、この植物の生き様と重なっていく。
彼の願いは、ただ二つ。
本当の自分の句を作りあげることと、他の一つはころり往生。
思考に翻弄され彷徨いに彷徨うが、行乞の暮らしの中から嘘のない素朴で澄んだ文体で綴られており、時に滑稽で愛しく感じさせる。
シルクサテン/
蠟染、ステンシル
48.5×59cm