分け入っても分け入っても青い山
種田山頭火

榎倉 香邨
重畳たる新緑の青い山(高千穂)に向って「分け入っても」を繰り返す山頭火。その鮮烈なしかも力強く求めてやまぬ「歩々到着」の山頭火。その激しいまでも力強く自信に溢れた脚音を聞く思いがする。
60×60cm

中井 貞次
この句は、山頭火の日本風土をずばり吐露した自然感ではなかろうか。
山は青い。青く見えるのは樹々の繁茂による。樹々は水源があるから育つ。水は光の屈折により青く見える。
青は藍より生ずる。その藍は如何様にも変化し得る可能性を持つ。
水性日本の風土色は、まさに藍を基調とする青。その藍を頼りに染め続け、山頭火の〝青い山〟の心境に辿り着きたいと思う。
生平(麻)/蠟防染を施し、藍を基調とした浸染法による染色
175×118cm