多分だが磯巾着は義理堅い


坪内稔典
中村 暢子

 

中村 暢子

 

 

 書は文字を素材とする表現活動である。しかし「言葉」に意味がある以上全く無視することもできず、どうにかしてその意味やイメージを表現したいと願う。
 この作品においては可読性は求めず、線を絡めて外へ外へと動いていくもの、「文字」というより「線」によって『幾何学模様』のような表現を狙った。
 その中に俳句の印象的な『磯巾着』が観者の眼に浮かんできたのなら幸いである。


60×60cm

田島 征彦

 

田島 征彦

 

 

 坪内稔典の作品はシュルレアリスムな世界へ突き進んでいるように考えます。上の句から下の句の移行が突然で、まさにシュルレアリスムです。ぼくは同じ「船団」の池田澄子の「じゃんけんに負けて蛍に生まれたの」も好きです。これも多分にシュルレアリスムだけど、池田がマックス・エルンストだとすると坪内の〈移送〉的表現はルネ・マグリットかと思います。ブルトンの〈自動速記〉が俳句の世界へ突入したのかな?
 しかし、ぼくの作品はまだシュルレアリスムに到達できないままに苦しいあがきを見せてしまうことになってしまいました。


木綿/型染(樹脂防染法、着抜法)
121×112cm