林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき
寺山修司

丸山 宏信
恋しい人に逢いたいけれど逢えない切なさ、それを淡墨でにじみを生かして表現してみようと考えた。あまり字形にこだわらず、リズムに乗って書くことを大切にした。
激しい情熱が、暖かいにじみの広がりと共にやさしさへと変化し、「あなた」への想いとして染み込み広がり伝わっていくことをイメージした。暖かな線条を表現するために、墨は松煙を淡墨にし、筆は極めて柔らかい羊毛を使った。
60×60cm

木村 菜穂子
寺山修司といえば広くは短歌の人として知られるが「花粉航海」には寺山15歳時の俳句が収載されている。
ともすると危険な、思春期の少年の青い激情をむしろ愛おしく感じられるのは、敬愛する寺山が逝った年齢に私自身も近付きつつあるためかもしれない。
その句のような「蒼さ」を秘めたまま、全速力で時代を駆け抜けた人でもあった。
白山紬、酸性染料、顔料/ステンシル
143×122cm