月光西にわたれば花影東に歩むかな
与謝蕪村

西川 壽一
浄土世界に背を向け、迷いの中〝生〟に執着する姿としての蕪村をイメージしたものです。聖俗ない交ぜの自己を煩悶する人間臭さをモノトーンの世界で試みてみました。
60×60cm

柳楽 剛
この句を読んだ時、解りやすく非常に絵画的だと感じた。
月光の下で時が移りゆく情景が、十七文字で表されている。
蕪村がこの句の花影にどのような花をみていたかは不明であるが、私は夜明けに咲く泰山木の花をイメージした。
また蕪村には狐に関する句も多く、「紫狐庵」という号もあり、狐のもつあやしげな雰囲気に特別な関心を寄せていたらしい。そのエピソードにちなんで画面の片隅に狐を配した。
麻/蝋染
152.5×104cm