数字でみる染・清流展の30年


深萱 真穂 (染・清流館キュレーター)

 第1回の染・清流展は1991年2月、京都市美術館で開かれました。会期は6日間。第一線で活躍する染色作家30名が力作を寄せました。図録の表紙には、京都市立芸術大学名誉教授の佐野猛夫氏や来野月乙氏、日展評議員の皆川泰蔵氏や三浦景生氏といった有力作家の名が並びます。
 それから30年を経た今年、第23回展を染・清流館で開催します。会期は前期と後期それぞれ21日間。出品作家は選考委員会で34名が選ばれましたが、7名が辞退し、27名となりました。
 年数(30年)と開催回数(23回)が一致しないのは、第15回まで毎年、第16回からは隔年で開いてきたからです。第21回展以降は隔年開催を意味する「ビエンナーレ」を展覧会名に加えました。
 過去22回の展覧会に出品した作家は延べ839名に達し、実数でも136名にのぼります。特定の所属会派に偏らない、というのが当初から出品作家の選考方針でしたが、実に大勢の作家のかたがたにご出品いただいて染・清流展がこんにちまで歴史を刻んできたことがわかります。このうち冒頭に挙げた4氏を含む少なくとも16名が他界されました。ご冥福をお祈りいたします。
 第1回から第15回までの会場は京都市美術館でした。広い会場でしたので大規模な作品も多く、第1回展の図録には横幅3.7mもの作品が2点掲載されています。第16回展以降は染・清流館が会場となり、広さの制約から作品のサイズダウンを余儀なくされました。その後、作家の人数を絞って大きい作品も受け入れる方針に改め、今展は横幅3.5m以内、高さ3m以内を目安としています。その寸法を念頭に置いて、作家が実際に選んだ作品のサイズと、その中に込めた表現のありようをご覧いただくのも、それぞれの作品世界の楽しみ方のひとつかもしれません。
 上述のように第1回展にはさまざまな会派(あるいは無所属)の有力作家が名を連ねました。30年を経て作家の代替わりが進み、今展まで23回連続で出品されるのは澁谷和子氏と田島征彦氏の2名となりました。他方で今展が初出品となる作家も2名おられます。所属会派だけでなく、年齢においてもますます広がりをみせているといえそうです。
 染・清流展は染・清流館にとって、設立の母体となった大切な展覧会です。これからも染色文化のすばらしさを広く伝える場として、鑑賞者に楽しんでいただけるような、また作家に喜んで出品していただけるような、魅力ある展覧会となるよう念じています。