ごあいさつ


 第25回「染・清流展 ビエンナーレ2025」を開催します。
 「染・清流展」は、第一線で活躍する現代染色作家に、所属団体の枠を超えて新作を出品していただき、染色文化のすばらしさを広く観覧者に伝えるとともに、染色界の活性化を目指す展覧会です。1991年に京都市美術館で第1回展を開催し、2005年の第15回展まで同所で毎年開催してきました。2007年からは、その前年四条室町に開館した染・清流館で、隔年で開催し、今年で通算して25回目を迎えることになります。
 今展では、美術館関係者やメデイア関係者などで構成する選考委員会が選んだ34名の染色作家が、この展覧会のために制作した作品を、前期、後期の二期に分け展示します。染色界を代表する重鎮から若手までが、多様な染色技法を駆使して制作した、力のこもった染色作品の数々は、まさに染色芸術の現況を映し出す展覧会になっているといえます。
 作品の形状も、パネル、屏風、掛け布、額装、暖簾、半立体、着物、帯、掛軸と実に多彩です。今回の「染・清流展」を通して、世界に類を見ない染色芸術の魅力を、ぜひ体感していただきたいと思います。
 

染・清流館

ごあいさつ


小澤 達也 (染・清流館館長)

 今回「染・清流展」は25回目を迎えます。父、小澤淳二が1990年、京都染色界の発展をめざし、現代染色作品の普及と作家を支援するため、染色作家の重鎮の方々と美術評論家、木村重信氏の助言と協力を得て、清流会を設立したのが始まりでした。そして翌1991年には、京都市美術館で第1回の染・清流展を開催し、2005年まで毎年開催してきました。同時にその出品作の中から、毎年コレクションを続けてきました。それは、清流会のもう一つの目的である染美術館の設立の準備でもありました。
 そして2006年に京都・室町に、日本で初めての染専門の美術館「染・清流館」が誕生しました。同時に染・清流展は同所で開催されることになり、第16回展からは二期に分けて、これまで隔年で開催してきました。第1回展から始めた作品コレクションは、現在では、日本国内の現代染色作品に限ってはいえば、他に類を見ない規模となっております。
 その染・清流館も今年、活動20年を迎えようとしています。今では染・清流展のほか、個人作家展、若手作家支援展など、様々な企画展を毎年6回から7回開催しております。また展示活動のほか、他の美術館への作品貸し出しや作家の作品の管理・保管に努め、徐々に美術館としての機能を充実しつつあります。そして設立35周年を迎えた清流会は、来年2026年に京都市京セラ美術館に於いて、“染・清流展の25年をふりかえる”企画展を開催します。
 これを契機に染・清流館は先達の染色作家に続く若手作家の発掘、そして他の関係美術館との連携を深め、コレクション作品を積極的に活用してまいります。つきましては染色作家の先生方、その他関係各位のご指導をいただきながら進めてまいりたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。